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化粧品成分/美容・健康情報 AtoZ 記事一覧へ USDAオーガニック化粧品の実態 ROE・エタノール配合で乾燥肌や敏感肌に不向き ●日本はまだまだオーガニックコスメ後進国 ●欧米に比べて日本のオーガニックコスメ制度は10年以上の遅れ ●ＵＳＤＡ（アメリカ連邦農務省）に見習って日本の農林水産省はオーガニックコスメ認証制度に着手すべき オーガニックコスメ（≒自然派化粧品/ナチュラルコスメ）に関してインターネット上を閲覧していると、日本におけるオーガニックコスメを取り巻く環境に対する不満の声が多いことに、皆さんも気付かれるはずです。その不満の声の発信者は、乾燥肌や敏感肌でお悩みの方であったり、アトピー肌（アトピー性皮膚炎）や化学物質過敏症などでお悩みで、少しでも安全な化粧水などの化粧品を購入したいとお考えの方もいらっしゃるようです。また化粧品の製造販売元や化粧品販売者としても、本物のオーガニック化粧品を作ったり販売したいので、その環境が整ってほしいといった願いもあるようです。 別のオーガニックコスメに関する連載記事の第１編にも書きましたが、現在の日本にはオーガニックコスメを明確に規定する法律はなく、化粧品業界は「オーガニック」という言葉であふれているのが現状でしょう。なぜなら、「オーガニック」という言葉を使用すれば、消費者の皆さんにこだわりや安全性を強調することができ、高く販売することが可能だからです。端的に申し上げるなら、オーガニックの雰囲気がするパッケージデザインだと販売側が思えば、それはオーガニックコスメとなり得ます。このような状況に危惧された方々が、冒頭のようなご主張・ご意見をお持ちにならているのでしょう。 そのご意見のうちの「USDAに見習って…」に関してですが、この認定を受けた化粧品は一般的にUSDAオーガニックコスメと呼ばれていて、これが今回の記事のテーマとなります。このUSDAのオーガニック認証制度の正式名は“USDA National Organic Program (NOP) regulation”であり、この制度は食品（農産物と農産物加工品）だけでなく、化粧品にも適用可能となります。いわば、国によるお墨付きの商品を、製造したり販売することが可能というわけです。日本の場合は農林水産省によって、食品のみにオーガニックのお墨付きを付与することが可能となります。 このような制度（規制）が出来上がって発効すれば、安易に「オーガニック」と商品に冠することができなくなります。たとえば日本の食品の場合ですが、有機食品のJAS規格に適合した生産が行われたことが検査され、合格すれば有機JASマークを貼ることが許可されます。そしてこのマークが貼られている商品以外に、「オーガニック」や「有機栽培」といったアピールは、法的に許されないこととなります。 法的に規制する点においては、アメリカでも同様となります。USDAオーガニックコスメの認証制では、「100％オーガニック原料で構成される化粧品」「オーガニック原料が一定以上の割合で使用される化粧品」といったいくつかのランクが設定されており、ランクによっては「USAD organic」のマークを貼ることができるようです。ここまで法律で縛られてしまうわけですから、商品の雰囲気がオーガニックであるからといったバカバカしい理由で「オーガニック」というキャッチフレーズを標ぼうすることはもちろんのこと、認証登録されていない美容液や化粧水などの化粧品は、一切「オーガニック」と宣伝できません。 （ここ迄のブログ分割記事 ココログ / アメブロ　はてな） ●アメリカの消費者は安心してオーガニックコスメを購入できるので羨ましい… ●日本も早くこのようになってほしい… これまでの記述をご覧になれば、このように思われるのは無理もないでしょう。しかしアメリカではこのオーガニックコスメ認証システムが、大きな問題を引き起こしつつあります。それはネット上を探しても、日本語では見つかりません。 日本の行政は「縦割り」だと、よく言われます。アメリカの行政も「縦割り」の傾向があり、むしろ日本よりも顕著であるかもしれません。その最たる一例が、このオーガニックコスメ認証制度でしょう。日本の厚生労働省の旧厚生省の組織に相当するアメリカの行政機関は、FDA（連邦医薬食品局）です。このFDAはUSDAのオーガニックコスメ認証システムに、半ば否定的な立場をとっているようです。それは、USDAが認定したオーガニックコスメを安全だと信じて使用したアメリカの消費者が、健康被害を起こしていることに対してです。 「天然防腐剤配合のオーガニックコスメは安全？」と題した別の記事にも書きましたが、自然は人類のために存在しているわけではありません。食されることによって糞と一緒に種が運ばれる実は別として、必要な枝や葉までも収穫されてしまっては、植物の立場としては困るというわけです。そこで植物は身を守るために、自ら何らかの毒素をまとい、人間をはじめとする動物からの被害を回避しようとします。以上のように考えれば、植物エキスとは本来、危険と考えられるべきことなのです。 そうった中でも人類は長い年月をかけて、食品または外用に利用できる比較的安全な植物の種や部位を、みつけてきました。言い換えれば、歴史的に安全性が確かめられてきたものは、一定の安全性が確保されているということです。それ以外の植物や特定の部位については、安全性が確保されていないということです。そして一定の安全性が確保されている植物の部位であっても、人によりアレルギーが発症する危険性があります。その植物をいくら有機栽培で慈しみながら育てたとしても、その人にとってはアレルゲンをもたらすことになります。 このことに関してFDAは、「USDA認定オーガニックコスメは安全性を担保したものではない。植物には固有の危険性がある。」等と、消費者に強く注意を促しています。この事実が日本の消費者の皆さんには、あまり知らされていないのです。 （ここ迄のブログ分割記事 ココログ / アメブロ / はてな / Blogger ） 次に実際にUSDA認証済みオーガニックコスメの実態について、みていきたいと思います。”USDA organic”マークが付されている化粧品は、大きく分けて２つのタイプがあります。１つは100％オーガニックの商材で、たとえば「アルガンオイル」だとか「シアバター」です。これらは単一の成分だけで製造され、コスメといっても化粧品原料の色合いが強いものです。それゆえ防腐剤等の添加物を加える必要もありません。当然ながら通常の製品よりも、高い安全性が期待できるでしょう。 しかし保湿のための美容液や化粧水、そしてシャンプーやリンスなどの商品群には、疑問を感じます。これら商材の多くは、天然由来防腐剤であるローズマリー葉エキス（ローズマリーエキス/ROE）と、防腐効果を高めるエタノール（アルコール）が組み合わされて添加されているのです。まずエタノール（アルコール）についてですが、いくらオーガニックのサトウキビ由来だといっても、醸造されたエタノールはエタノール以外の何物でもありません。「オーガニックエタノールでお肌が老化する危険性」と題した記事にも書きましたが、エタノールは皮膚の乾燥を招く置換作用があるため、乾燥肌や乾燥性敏感肌には不向きです。そしてエタノールの配合量はわずかであっても、アトピー肌（アトピー性皮膚炎）にはタブーとされています。 そしてもう一つの添加物であるローズマリー葉エキスですが、これが大きな問題を引き起こす危険性をはらんでいます。上記のエタノールは、肌トラブルを起こしたとしても、それは所詮一時的なことで済むでしょう。しかしローズマリー葉エキスで重篤な状況に陥れば、ことはそう簡単にはすみません。再び米国の状況をネット上で見渡してみると、ローズマリー葉エキスによる健康被害が多いことに、気付かれると思います。 「ローズマリーエキスは危険？ 天然防腐剤の安全性」と題した別の記事にも書きましたが、ローズマリー葉エキスにはアレルギー発症の危険性があります。通常はすぐには発症せずに、化粧水を１瓶か２瓶を使い終えた頃に、突然アレルギー性皮膚炎を発症する場合があるのです。弊社はタラソテラピー商材の他に手作り化粧水の材料や容器も販売している関係上、自称「超敏感肌」のお客様より、さまざまな体験談を頂戴しますが、とにかくローズマリー葉エキス配合の化粧水による健康被害を、よくお聞きします。異常が生じた場合は、すぐにご使用を中止するのが鉄則でしょう。 皮膚炎程度で済めばよいのですが、ローズマリー葉エキス配合コスメをもっと使い続けた場合は、生活に支障をきたすまでの悪化も懸念されます。それはローズマリーを含んだ芳香剤の香りを嗅ぐだけで体調が悪化してしまうといった、重篤なアレルギー症状で、実際にアメリカではそのような健康被害が出始めています。お菓子をはじめとして、様々な食品にもローズマリー由来の原料がよく使用されていますが、それを食した場合のことを考えると、重篤なアナフィラキシーショックも懸念されます。既述のFDAの消費者への注意喚起は、このような危険性を考慮してのものと推察されます。 （ここ迄のブログ分割記事 ココログ / アメブロ　はてな） 以上のように、アメリカ政府が化粧品にもオーガニック認証制度を設けたことは、決して成功とはいえないでしょう。メーカー側や販売者側は大きな利益を得ることができたかも知れませんが、誤解した少なからずの消費者が被害を被っています。このような状況に陥るのであれば、USDAオーガニックコスメの認証制度は、実施しなかったほうがよかったのではと思います。また日本においても、オーガニックコスメ制度は実施すべきでなないでしょう。場合によっては、アメリカ以上の混乱が生じる可能性があります。「オーガニック化粧品にこだわる人 vs パッケージ等で決める人」と題した別の記事にも書きましたが、日本にはその土壌があります。 まず第一に、農薬等の危険な化学物質で汚染されていない天然由来成分であれば、安全であるといった神話を信じ込んでいる方が少なくないことです。これは一部の化粧品メーカーや化粧品販売業者、大きな責任があるでしょう。一旦天然崇拝主義者に陥ってしまうと、抜け出すことは容易ではないようです。天然由来にこだわり、天然であるか化学合成であるかで取捨選択することは、ある意味複雑なことは何も考えなくてもできることなので、そのことが大きく作用しているかもしれません。もちろん、化学合成物質で安全性が超高い化粧品成分もあれば、天然由来成分でも危険性が超高いものもあります。 次に、化粧品に記載されている全成分を、ほとんど見ない方が少なくありません。その方の表現を借りれば、「成分をいちいち見ない」ということで、成分をちゃんとチェックして購入される方からすれば、信じられなないことでしょう。全成分表示とは、消費者が体質などに合わない成分があるか否かをチェックして購入するようにと、国が定めた制度です。この制度を裏返せば、消費者に自己責任を負わせたということです。それにもかかわらずに、宣伝文句やパッケージのデザインなどの雰囲気のみで購入を決めてしまう方が、決して少なくないのが実情です。 このような状況下でもし大規模なオーガニックコスメ認証制度ができたら、とたんに健康被害が頻発することが予測されます。その意味で農林水産省がオーガニック認証制度を農産物と農産物加工品にとどめているのは、正しい判断だと思われます。ですから冒頭のような、日本は決して日本はオーガニックコスメ後進国などではなく、むしろ危険性を察知して国民の安全を守っているのではと推察されます。 なお、消費者の皆さんが、本物のオーガニックコスメが欲しいとお感じであれば、安全性はともかくとして、全成分表示をみれば事足りるはずです。各美肌成分についてさらにお知りになりたい場合は、インターネット上でも調べることも可能であり、またメーカーや販売者に直接確かめることで、充分可能でしょう。 最後に繰り返しになりますが、USDAオーガニック認定の化粧水や美容液やシャンプー/リンスの多くは、ローズマリー葉エキス＋エタノールで防腐対策がとられています。乾燥性敏感肌や乾燥肌の方、そしてアトピー性皮膚炎の方には、明らかに不向きといえます。 （ここ迄のブログ分割記事 ココログ / アメブロ / はてな） 化粧品成分/美容・健康情報 AtoZ 記事一覧へ

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